中国の子育てを取り巻く環境
2019年12月に発表された、男女平等(Genter GAP)ランキングでは、1位、2位、3位はアイスランド、ノルウェイ、フィンランドと欧州勢が占める中、153か国中、121位の日本。では中国はというと106位。普段の生活では、女性も共稼ぎが当たり前なので、もっともっと上位では⁉と思うのだが、あるネット記事によると、都市部では世界上位に相当するが、農村などは、まだまだ男尊女卑意識が高く、平均すると106位程度なんだろうとある。なるほど!である。
いずれにせよ、都市部の女性の社会地位は低くなく、むしろ女性の方が有能と言う人も多い。結婚して、子供を授かるのだが、一人が当たり前で、一人っ子政策が定着したのに加えて、経済的な観点からそうするのだという。都市部では皆、教育熱心であり、遅れを取るまいと教育費をつぎ込まざる得ない状況もある様で、一人っ子が当たり前になるのも無理もない。また、少し余談であるが、子供を産んでも、育児休暇は4か月程度。日本よりはるかに短いという現実もある。世界各国女性は強しである。
下記は中国での子育てを取り巻く環境をまとめたものである。
私が最も驚いたのは、中国では『ママ友集団が形成されない』ことである。少数の親友と食事会などはある様だが、公園などでママ友が集団で集まっていることなど見た事がない。確かに、マンションのお隣さんでも挨拶すら交わさないくらい、他人と親族の扱いを分けているのを見ると頷ける。どういう心理なのだろうか!? ライバルとして見ているとしたら、やはり面子の世界かもしれないし、他人と見ているのだったら、やはり『安易に信用しない』ということになる。
日本では、ママ友との関係で悩んでいるお母さん達が、たくさんいるという話をよく聞くが、中国では皆無といってよい様である。ママ友デビューなど、意味すらわからないだろうwww。日本の悩んでいるお母さん達にとっては、羨ましく感じる話かもしれない。
子育て課題の最善の解決策
こういういった①共稼ぎ ②教育費が嵩む ③他人に信用がない ④保育園は数が少なく高い などの子育て課題を一気に解決する策として、どちらかの両親と同居して子育てを支援してもらうのが一般的で最善の策となっている。おそらく、同居しないと共稼ぎも、生活もできないし、当たり前文化・風習となっており、結婚前にはお互い了承済みなのであろう。
確かに、市場調査でお宅訪問しても、同居している家族が多く、幼稚園・小学校の送り迎えなどは、ほとんどが、おじいちゃん、おばあちゃんの役目である。幼稚園・小学校の前で、バイクや電動車で迎えに来て、下校時間に校門前で待つ光景はとてもよく見かける。また、スタッフに聞いても、両親より、祖父母の料理の味付けの方が好きという話まであるほどである。
家事や子育てを全面に両親に任せることによって、夫婦揃って仕事に打ち込めるのである。しかし、双方にとってwin-winの関係の様に見えるのだが、嫁姑問題、教育方針問題などは、ないのだろうか⁉︎ と考えてしまうのは私だけだろうか!? そりゃー多少はどこでもあるよねwww。
親子三代に渡る子育ての功罪
おじいちゃん、おばあちゃんにとっては、『孫は目に入れても痛くない』と言われるくらいなのだから、可愛くて仕方がなく、一緒にいられる至福の時間を過ごす事だろう。想像だが…さぞかし甘やかされて育つのであろう。結構おじいちゃん、おばあちゃんっ子が多いのも頷ける。
一番良い面として、親子三代に渡り、強固な絆が生まれることであろう。昔ながらの伝統も引き継がれ、脈々と後世に残るであろう。また、親や祖父母を大切にするといった風習も自然に身に付き、両親や祖父母の教えを守ることが当たり前の風土が出来上がる。
反面、悪い面として、わがままな子供になってしまうという事が想定される。一人っ子により、文字通りの6ポケットである。両親は四六時中一緒にいる訳でなく、一緒にいる時くらいは甘やかすだろうし、祖父母は孫が可愛くて甘やかす。
この様に、良い面も悪い面もある様に思うが、今の核家族化になりつつある日本にとって、希薄になってきている文化・風習が中国では今現在でも脈々と醸成されている様に思う。
余談であるが、両国とも少子高齢化に突き進んでいる。どちらが良いか火を見るより明らかである…。
本当の子育て時期
このような子育て形態が当たり前な中国。そうすると、本当の子育ては、おじいちゃん、おばあちゃんになってからという事になる。また、日本の様なママ友集団を作らない中国では、幼少期のとても濃い時間を祖父母たちと過ごし、育っていくのである。こうして親子3世代が固い絆で結ばれるのも納得である。
考え方によっては、子供が生まれ、親となった時には、祖父母に育ててもらい、それを横目で見ながら予行演習ができる。そして孫が出来た時が本番である。けっこう良い形態かもしれない。
コメント