中国の酒の席ルールのおさらい
中国でビジセスをする以上、お酒の席は外せないMUST要件であろう。最近の若い経営者たちは大卒も増え、健康に悪いということで、アルコール自体飲まない人も増えつつあるが「酒の席」→「食事会」となるのは、少なくともあと10年は掛かるだろう。現時点においては、まだまだ、酒を席の振る舞いがビジネスを左右することもあるだろう。
中国と日本では酒の席のルールが少し違うので、少しおさらいしよう。
もっとあるかもしれないが、これくらい覚えておけば、酒の席で無礼と思われることはないだろう。やはり圧倒的に日本と違うのは、「酒は1人で飲まない」と「乾杯は基本的に全て飲み干す」ことである。要するに「お酒を飲む度に誰かと乾杯し、コップに入ったお酒を飲み干さなければならない」のである。だから、一回の酒の席で数十回も乾杯する計算となる。
余談だが、江西省の経営者とワインを飲んでいた時に「なぜ、ワインまで乾杯で飲み干すのだ?ワインはゆっくり飲むものだ。」と聞いたら「なぜ飲み干さないのか分からない。」と当然の様に回答されて、妙に納得してしまったのを思い出すwww。
何はともあれ、この2つのルールさえなければ、お酒の席も楽しくなることは間違いないのだが、良くも悪くも中国独特のルールと言えよう。
なぜ酒の席を避けたいのか
本来ならお互いのことを良く知るために、コミュニケーションも取れて、非常に楽しい時を過ごすのが普通なのだが、ここ中国においては、ビジネスの延長という意味もあり「食わせて飲ます=歓迎」となり、余る料理で喰い倒れ、大量の酒で飲み潰れてもらうのが美徳となっている様だ。大阪の「食い倒れ」とも少し意味が違い、面子も大いに関係しているだろう。そういった文化的な背景や風習を避けて通りたいのである。年配の方々に刷り込まれたこの概念は覆せないので、若い次世代に期待するしかないのである。
やはり、酒の席で最も警戒すべきは白酒であろう。一般的に度数が48〜52度、テキーラよりキツくて、甘ったるい雑穀米の蒸留酒である。私はどうしても美味く感じない独特の風味である。かなり高価なものは軽く数万円するのだが「飲み易く次の日に残らない」というだけで、風味はどうしても好きになれない。この白酒をなんとか避けて通りたいのが真の本音である。
この様な状況下で、私がたまにお酒の席ですごく羨ましく感じる時があるのは、運転手である。『今日私は運転するので』この一言で誰も文句は言えないし、お酒を勧めることは出来ない。心の中は「替わってくれ〜」である。また、よく「お酒嫌なら断ったらいいじゃん!」と軽々に話す人もいるが、「体調が悪い」とか「二日酔い」とかは断るには十分な理由にならない。ましてや二日酔いとは前日に誰かと大量に飲んだことを意味するので、むしろ逆効果である。「誰かさんとは飲めて俺の酒は飲めないのか?」と前日より多くのお酒を飲まそうと意気込むのである。これもいわゆる面子の世界であろう…。
下戸(げこ)の中国人も当然いる
中国人全員がお酒が強い訳ではない。当然なかには飲めない下戸の人もいる。そういう人にとっても、お酒の席は苦痛であろう。しかし、酒の席がビジネスチャンスと考える中国では、無理してでも客人を自ら誘って積極的に乾杯をする経営者も少なくない。
過去幾度となく、飲みつぶれる経営者たちを見て来ている。
吐きながらトイレに担ぎ込まれる人、
テーブルで飲みつぶれて動かなくなった人、
トイレから帰ってこない人、
呂律が回らず何を喋っているのか分からなくなった人……。
不謹慎だが、そういう経営者を見た時は「今日は勝ったな‼︎ 」と思ってしまう自分がいるのである。勝ち負けでは無いが、妙に頬が上がってしまうのであるwww。
賢い経営者たちの中には戦略的に酒の席を仕組む強者もいる。客人の乾杯の量だけを増やす目的の白酒要員を事前に潜り込ませるのである。この白酒要員というのは、大抵は女性が多い。美人もいれば、ノリのいいオバさんもいるのだが、共通して言えることは「白酒を水の様に飲める」のである。また、女性から酒を勧められて断ることは極めて難しく、面子が立たないという側面も持っている。正に一石二鳥且つ戦略的である‼︎ こういう時は、我々は記憶が飛び、相手方はほぼ無傷である…。
下戸の中国人に教えてもらった「白酒対策」を実践してみた
我々の会社に、年配で、お酒が弱いいわゆる下戸のスタッフがいる。当然下戸でありながら、海千山千の酒の席をすり抜けて来た強者(つわもの)である。どうしているのだろうか⁉ と思い聞いてみた。
あなたはお酒弱いよね?長年どうやってお酒の席を乗り切って来たの?
『白酒など皆で乾杯し、口に含んだ状態にして、即座におしぼりで口を拭く振りをして、おしぼりに白酒を浸み込ませるんだ!そうすると飲まなくて済むんだよ‼︎ 』
お~‼ そんな手かあったのか⁉ 今度実際にやってみよう‼
早速、酒弱中国人スタッフに教えてもらった技が使える飲み会がやって来た。
『カンパ~イ‼』口に白酒を含み、おしぼりで口を拭きながら、白酒を浸み込ませてみた。なるほど‼‼ バレない!その次もその技を使ってみた。やっぱりバレない。行けるんじゃな〜いwww。
数回繰り返したその時‼︎ 事態は予想だにしない展開を迎えるのである。
目の前のテーブルに置いたおしぼりから、白酒の雑穀米の甘ったるい強烈な匂いが『プ~ン』と匂い立つではないか⁉ 逆に座っている間中、ずーっと匂い立つその匂いだけで、吐きそうな気分になってきた。堪らず、おしぼりをテーブルの下に葬ってしまった……。
その後、その彼とそのことを話したが、『店員におしぼりを替えてもらう』との事だったが、そんなに都合よく店員が来るわけもない。なかなか上手い話はないものだ。以後この技はボツにしたのであった。
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