天才?変態?ある人の一言から始まる撮影の旅
私は市場調査で数えきれないくらいたくさんのエリアを訪問している。その中でも、2018年の大規模調査では、都市・県・農村に分けて36箇所を訪問し、実に10023枚の写真を撮った。その内、6000枚くらいは、街ゆく人々のファッション写真である。特に流行に敏感な女性の写真が殆どである。男性は夏だとTシャツに短パン、草履、冬だとジャンパーのみになるので、ファッションのことなら女性ターゲットとなってしまうのである。決して私が女性好きの変質者ではないことを明記しておくwww。
実際には写真を撮っていて、計6回お咎めを受ける場面に遭遇している。中には公安に尋問を受ける場面もあったが、かろうじで捕まることなく、なんとか無事生還している。回避するちょっとしたコツがあるのだが、別の機会に紹介することとしよう。
こういった取り組みは、”ファッションから中国人の価値観を探ろう”というある一人の天才?変態?の開発の方の発想から始まった。物造りをする上で、ファッションはデザインに通じるものがあるらしい。営業系の私は考えもしない発想である。
また、彼は世界中でこのような取り組みをしており、国ごとの価値観を分析していて、横比較も出来るため「中国でもやろうよ‼︎ 」ということとなり、途方もない撮影の旅が始まるのである。
撮影する方も大変だったが、6000枚の写真を1枚1枚見て、服装はもちろん、持っているカバンや靴などからも分析をしてゆくのだが、気の遠くなる作業である。天才と変態は紙一重…。彼は紛れもなく両面を持ち合わせている。ファッションセンスの欠片もない、緻密さに欠ける私には到底真似出来ない…。いずれにせよ、この彼の存在のお陰で、膨大なデータに裏付けられた中国のファッション感覚が証明されることになるのである。
中国ファッション分析結果
ファッション分析の結果は、中国は『清楚・真面目系』と『若者・軽薄系』がとても多く、ヤバイ系・セクシー系は極少という結果であった。ヤバイ・セクシー系は、都市・県・農村どののエリアにも極小である。これはベトナムなどとよく似た傾向であるらしい。やっぱり、社会主義国は根底意識の中に、目立つことを避ける傾向にある様だ。確かに、我々の面識のある男性の経営者たちも、我々の想像を絶する超金持ちにも関わらず『ポロシャツやTシャツ、GパンでBMWやポルシェに乗る』といった印象である。
また、ごく一部の大都市を除いては『見られ方』より『見せ方』つまり、自己主張的で『見て見て~‼ 私可愛いでしょ~‼』である。元々中国人の気質で『周りを気にしない』ことは感じるが、服装にもそれが表れているという事であった。
よって、ヤバイ・セクシー系を除いては、個々で好きな服装を着るので、服装系統の幅はとても広くなる。またエリア別によって存在するお店や、収入によって購入できる選択も変わるし、ブランド品などは本物・偽物もある。自由に好きな服装を選ぶ気質と無限に選択肢のある中国でMarketerをしている方々は、よっぽど的を絞らないとターゲットユーザーには響かない。複雑怪奇、難攻不落の中国である。
ファッションセンスの背景を探る
ではなぜ、この様なファッション感覚になるのであろうか!? ここからは超個人的感想・感覚なので参考程度に聞き流してもらいたい。
推測でファッションセンスの構築要素を洗い出してみたが、どうも一番オシャレをしたい中学・高校時代に、勉強と体操着で過ごしている様である。大学は一律下宿で共同生活で極貧。オシャレに過ごしたくても出来ない背景がありそうだ。(そういえば大学生の時、バイトをしていたという話を聞いたことがないな!?)
日本ではファッションブームの生み出すのは中学生?高校生?OL?詳しくは知らないが、JK(女子高生)とアパレル企業と契約しながらファッションブームを模索している話は聞いたことがあるwww。日本の場合は高校生あたりからブームが発生するのかな!? もしそうだとすると日本と比較しても、学生時代が体操着だとブームは起こりにくいだろう。 これも政府の戦略なのだろうか!?
また実際に、上海のファッションセンスのある28歳の独身女性に、ファッション情報の入手について聞いてみたが、携帯で自分の好きなKOL(キーオピニオンリーダー)をフォローし、その紹介されている商品や、自分に合った価格帯や傾向の服飾メーカーをフォローして服を選んでいるのと事であった。やっぱり「自分にあったKOL」であり、自由に自分の感性で選ぶ傾向にある様だ。個々に好きに選ぶのだから、これをブームと呼ばないだろう。
また、日本と台湾と中国でMaketerを経験されている人も『中国では共通で読まれるファッション雑誌が無いから、ブームというブームは起きない』と言っている。
如何であろうか!? 私の推測もあながち間違いではなさそうであるwww。
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