これは私が中国に住む前、出張で初めて中国に降り立った時の話である。中国の事は全く知らない段階である。言葉も、文化も、風習も、仕事すら具体的に何をするか分からない状況で、やって来たのである。あの時の印象は『大都会だけど、空気が汚く何か変な匂いがするなあ~。』であった。日本では、PM2.5が大きく問題視されていたので、余計にそう思ったかもしれない。 当然、私自身も良くないイメージを持っていたのは言わずもがなである。
早速、勤め先となる会社に出勤し、当時の社長と面談した。その社長とは面識があったので、緊張はしなかったが、いきなり『中国語しゃべれん奴はいらんからな‼』と釘を刺された。当時の私は『ニーハオ、シェイシェイ』しかしゃべれなかったのである。先制パンチを打たれたのを鮮明に覚えている。
面談が終わり、順序が逆になってしまったが、名古屋空港で購入した『うなぎパイ』を渡す機会が訪れた。その時に会話の一コマである。
私: 『これ、皆さんで食べて下さい。』
社長: 『お~!うなぎパイか~‼』(包装をバリバリと剥きながら)
私: 『最初に渡すべきでしたが、順序が逆になりすみません。』
社長: 『これが、酒飲んで吐いた後、甘くて美味いんや~‼』(数本を鷲掴みしながら)
私: 『・・・』
『失礼ですが、今おいくつになられましたか⁉』
社長: 『57歳やけど、何や⁉』
と、こんな会話をしながら、うなぎパイの包装を乱暴にバリバリと剥いて、箱を開け、半分くらいのうなぎパイをガサッ~と鷲掴みにして持って行ったのだ。このやり取りをして、『57歳でも吐く心配をしないといけないって…どんな国だ!????』と思ったのを昨日の事の様に覚えている。それから1ヵ月を待たず、この時の意味を痛感する事になるのだが…恐ろしい酒文化である。
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