【実録】中国公安にガサ入れされた話 Part②

出張体験
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中国ガサ入れサレ歴4回の私が4回目のガサ入れされた話
中国ガサ入れサレ歴4回の私が4回目のガサ入れされた話

ガサ入れサレ歴の振り返り

これまでの私のガサ入れ歴4回を振り返ると、3回は雲南省で最後の1回は河南省である。雲南省はベトナムとの国境をまたぐ麻薬トライアングル地帯があり、雲南省公安もそれなりに警戒している。また、街と街との県境にも銃を持った武装公安が関所を設けて、通行する車両を毎回止めてチェックする徹底ぶり。

公安が警戒するにはそういった理由があるので、私も雲南の国境付近の街に行く時はそれなりの心構えができるのだが、実際に数人の公安にホテルの部屋に乗り込まれるのには毎回ビビッてしまうのが本音である。高圧的な詰問攻めに対し、不審な回答や動きをしようものなら、即拘束の可能性も否めないので、丁寧且つ慎重に受け答えしなければならないのである。

今まで何とか事なきを得ていたのだが、中国国内では共産党の意向で何とでもなる世界であり、日本との関係が悪くなったり、日本へ制裁を加えたい時期であったならば、何とでもなるかも知れないのでは!? という恐怖が常に付きまとう。そういった考えが更に緊張感が増す一つの要因であろう。就職活動の面接の様に、好印象を与えつつ丁寧且つ慎重に対応するのが望ましいのである。
ここまでの攻防戦を詳しく知りたい方は『中国公安にガサ入れされた話 Part⓵』を閲覧ください。

4回目のガサ入れは河南省での不意打ち

最後の1回は河南省の何の変哲もない小さな県レベルの地方都市での出来事である。河南省は初めて来るエリアであり、スタッフは事前にネットでホテル予約しており、外国人宿泊はOKであったのだが、チェックインの時はどうも外国人が初めての様で、少し手間が掛ったが何とかチェックインを済ませ、部屋に入った。

もうかれこれ出張に来て一週間くらい経っていたので、入室するなりホテルの風呂場で洗濯をしようと、素っ裸になり、一週間分の洗い物を風呂の湯船に放り投げた瞬間、部屋のドアが『ダン‼ダン‼ダン‼ダン‼』となった。聞き覚えのあるいつもの音である。『まさか⁉ここは河南省、雲南省ではないし、ましてやこの様な片田舎で…⁉︎』私は唯一乾いているポロシャツを着て、下はバスタオルを巻いただけの姿で、ドアを少しだけ開けてみた。やはり4人の公安であった。ビンゴ~~~‼︎であった

こちらもガサ入れサレ歴3回のプロである⁉︎

部屋のドアの『ダン‼ダン‼ダン‼ダン‼』が聞こえた。

『次は開けた瞬間、公安が雪崩れ込むんだろ‼』

もうこのパターン化された公安のガサ入れ劇場は慣れているのだ‼ こちらもガサ入れサレ歴3回のプロ!? である。ただの素人外国人と思ってなめて貰ったら困る‼

『さあ、どうぞ~‼』

と思ってドアを開けたら、少し意外であったが、ゆっくりと部屋に入って来たのである。

『う~ん、少しパターンが違うな… 』

少々の違和感を覚えながら棒立ちしていると、次は小柄な40歳位の婦人公安が出てきて、物腰柔らかく質問を受けたのである。

『これまた私の想定しているパターンと違うな…もっと高圧的に来てくれないと… 』それでも

『ハイ、パスポートね、名刺ね』『私はこういうもので、このメンバーで、この目的で… 』

といつものパターンで余裕のフリをしながら続けていた。聞いている婦人公安は少し笑顔を見せながら頷くばかり…。

『何か調子が狂うな。新手のBパターンか??? 』

それでもこんなに優しい対応なのだから、確認が済めばすぐに終わるだろう、いつものようにwww。そうこうしていると、呼びつけられた我々のスタッフも来て、廊下と開いたドアの付近でいつもの終焉を迎えるような雰囲気となったので、

『じゃあ、もういいね。お疲れ様~!! 』

とドアを閉めようとした時…スタッフから思いがけない言葉が…

『何人たりとも外国人はこのエリアには泊まれません…という事らしいです… 』

おいおいマジで!?』『どうしろっていうの?』『まさか!?冗談?』『一泊だけでもダメ?』

などと幾度となく抵抗したが、ダメだった。諦めて、私は公安に向かって『じゃあ、ロビーで待ってて。洗濯物を水に浸けてしまったから』といったら、若い男性公安が『いや、ここで待つ‼』とドアの前から離れないのである。『少し時間が掛かるよ』といっても頑としてその場を離れない。私は1週間分の濡れたビショビショの洗い物を軽く絞って袋に詰め、簡単な服を着て、1人でホテルから放り出されるハメとなったのである。見知らぬ土地で夜の20時にwww

何て日だ‼︎俺は容疑者か〜⁉︎

荷造りを済ませ、ドアの前で待っている公安とエレベーターも一緒に乗り、我々のレンタカーに私が乗るまで付き添ってくれた。また、我々のレンタカーの前をパトカーが走り、丁寧に高速道路入り口まで送ってくれるではないか⁉『お~対応は丁寧だね~』とその時思ったが、いやいや真逆であった。私はまるで容疑者扱いで、ドアの前から高速に乗るまで徹底的に見張られていたのだ。それから、運転手と2人で、1週間後に向かう予定であった次の調査地点に向かって80㎞の旅が始まったのである。真っ暗闇の山道の上、霧も深かったので2時間以上も掛かり、ホテルに到着したのは夜の22時過ぎであった…。晩飯も食えずに…。これぞ本当の『なんて日だ‼‼』であった。

あとから色々聞くと、そのエリアには軍事秘密基地があり、外資が全く入らないから貧乏であるという事まで、ユーザーの不満から発覚した。また、ホテルの従業員も自分のホテルに外国人が泊まれないという事を知らない風で、公安が秘密裏に処理している様であった。河南省の片田舎にこんな秘密があるなんて思いもよらなかったのである。

意外なもう一つの不安

私は見知らぬ街で、外国人1人で、約1週間過ごすことになるのだが、1人で市場を事前に把握しようとレンタル自転車で、ブンブン街中を駆け回っていた。横断歩道で車にぶつかりそうになったのだが、その時ふと思った。『あれ⁉このままもし事故を起こしたり、病気になったり、誘拐など事件に巻き込まれたら、どうなるんだろう!?』と。急に不安になり、慎重に行動するようになった。『知り合いが全くいない見知らぬ土地というのはこういう感覚になるのか‼』とその時初めて一抹の不安を感じた。元々私は旅行はあまり好きでないタイプだし、1人旅などもってのほか、1人で飲みにすら行かない寂しがり屋である。世界中を1人で飛び回るバックパッカーなど、どういう神経をしているのか、理解できないし、是非考え方を聞いてみたいものである。もっとも不安の根底には自分の中国語のレベルの低さが起因しているのは明白である。何とか伝わると思うが自信が持てないレベル…。もっと精進せねば‼‼

結果良ければ全て良し⁉︎

ま、何はともあれ、今回も拘束されなくて良かったと今では思える出来事であった。今回のガサ入れパターンは雲南の高圧的な態度とは違って、優しくて丁寧であった。しかし、追い出される事となった。う~ん、どちらが良いのだろうか⁉『対応は高圧的だが、ホテルを追い出されない雲南省』と『対応は丁寧だがホテルを追い出される河南省』。私の場合は高圧的な対応に慣れて来ていたところだったので、間違いなく前者だろう。遭わないに越したことがないが、夜にホテルを追い出されるのだけは勘弁願いたいものである…。

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